
TOEIC、英検などには頻出単語があり、その対策の必要性がよく言われます。
たしかにcomplimentary=無料チケット、merge=合併する、state-of-the-art=最先端の、という種類の単語はTOEICテストや、その問題集以外ではあまり見た記憶はありません。
スコアアップのためには、これらの頻出単語に的を絞った暗記戦略を考える人も多いでしょう。
でも、800点ぐらいまでなら、より幅広く一般的な単語を強化した方がむしろ効果的な気がします。
なにより、いつ使えるかわからない単語を暗記するのは、単語カード片手で通学した学生時代を思い出してしまってイヤですよね。
そこでTOEIC800点をめざしてネットニュースなどを使い、お手軽に単語力の底上げをする方法を考えてみました。
今回も、英語学習おたくな全国通訳案内士&ライターのTakがお届けします。
海外ニュースサイト学習の利点とは?
New York Times、CNN、BCCなど世界の大手新聞社や放送局のホームページでは最新ニュースを無料または低価格で読むことができます。
これらのニュースを「定期的に読む」「ときどき深く読む」ことで、TOEICテストなどに与える利点は以下のようなものが、考えられます。
・現在の政治・経済・科学・芸能などで一般的に単語を知ることができる。
・毎日の反復により、重要な単語ほど多く目に入り暗記のための努力をしなくても、使える単語が自然と増えていく。
・ニュースや記事の構造がわかりTOEICの長文テストのときなど「どの辺にどの情報がある」と見つけやすくなる。
・一つのニュースを追いかけていく副産物として、政治・経済・科学・芸能などの最新ニュースを獲得し、幅広い知識を得られる。
単語を丸おぼえするのと異なって、興味のある分野ならストレスもなく長い時間継続できるので、効果も自然と上がってきます。
以下に、ボキャブラリー充実に使えそうな海外ニュースサイトと、その利用方法についてまとめます。
英語学習に役立ちそうな海外ニュースサイトとその特徴
王道!The New York Times
世界でもっとも有名な新聞社の一つであるニューヨークタイムズのホームページは大変に情報豊富なサイトです。
政治・経済・科学・芸能・スポーツ・国際などの情報が網羅されていて、また、一つ一つの記事も十分なボリュームがあり手応えがある練習テキストとなります。
使われている英語も、アメリカ人とのビジネスに利用しても問題のない少し固めの文法・語彙となっています。
月に記事3本は無料。
読み放題は最初の1年間が2ドル(月250円以下)で莫大なテキストを毎日読めます。
特徴は、個々のニュースが長いこと。音読すると、途中でツラくなることもありますが、そのときは無理しないで中断してもかまいません。
もちろん、じっくり読み込めば手応え十分なサイトです。
ライブ感満点なのがCNN
アメリカに本拠のあるニュース専用ケーブルテレビチャンネルのCNN。
各種情報を網羅して見ることができますが、ニューヨークタイムズに比べると、ややカジュアルでスラングっぽい英語を使っているようにも見られます。
このサイトは完全無料で閲覧できます。
テレビ放送局のサイトなので、映像コンテンツも豊富にあります。
残念ながらスクリプト(英語字幕)は付いていませんが、一緒に話す練習をするとアメリカ・ネーティブな発音に近づけそうです。
クイーンズイングリッシュを堪能できるBBC
英国国営放送BBCが運営しているニュースサイトです。
こちらも完全無料で映像コンテンツも豊富にあります。
イギリスの放送曲なのでイギリス英語で運営されています。
同じニュースをCNNやニューヨークタイムズと比較してみると、アメリカ英語とイギリス英語の違いがわかるかもしれませんね。
スポーツが好きならMLB、NFL、NBAなどのサイトも役立ちそう
好きこそものの上手なれといいます。自分の好きなジャンルのニュースなら、政治・経済などの退屈な内容の5倍は読めるという人も多いでしょう。
アメリカのメジャースポーツでは、それぞれにオフィシャルホームページがあり、日々新しい情報を提供してくれています。
PCのデフォルト画面を自分な好きなスポーツのオフィシャルにして最新ニュースを獲得するのも、楽しくて役立つボキャブラリー充実策になるはずです。
ただ、これらのジャンルでは、ビジネスでは使えない思いっきりスラングな表現もときどきあるので、その点だけは要注意。
話の内容をよく理解して学びたいならThe Japan Times
海外ニュースの内容はとっつきにくいので、話の内容がわかる内容でボキャブラリー強化を図りたいなら、国内企業が運営している。ニュースサイトもいいかもしれません。
当然ながら国内ネタが多いのが特徴です。
Japan Timesは朝日新聞系列の歴史ある英字新聞ですが、残念ながら月1,500円の購読料がかかります。
読売新聞系列のThe Japan Newsもあり、こちらは無料で購読できるようです。
このような国内メディアが運営する英語ニュースサイトの興味深いのは、日本人が編集に関わっているだけに、内容も英語も感覚的に理解しやすい点にあるでしょう。
私も以前The Japan Timesを練習用によく読んでいましたが、ジャパニーズイングリッシュでは全然ないのにボキャブラリーや話のつなぎ方に、あまりに違和感がないことにむしろ不思議な印象をえてしまった経験があります。
このように、いろんなメディアを合わせ読むと「ああ、英語ってこういうことだったんだ」というカルチャー的な発見もあっておもしろいです。
ニュースサイトを利用した英語学習の具体例
では、具体的に海外ニュースサイトをどんな風に利用すれば英語力向上に役立つでしょうか?
私がいままでやってみて、効果があったと思う方法をいくつか紹介してみます。
「学習」とか堅苦しい感じではなく、毎日のニュースを見る感じで、興味がある記事を読むだけでも「英語に対するセンス」は日々磨かれていくと思います。
ここでよく迷ってしまうのは「知らない単語が出てきたらどうするか」
- 一つ残らず辞書で調べて文章のパーフェクトな理解をめざす。
- 前後の関係から「こんな意味かな」と想像しながら読み、なんとなく理解できればいいとする。
じつはどちらも「あり」だと思います。
ボキャブラリーを充実させるという目的からして辞書で調べて記憶するのは「マジメ読み」は当然上達に役立ちます。
その一方で、わからない単語を含む文章を流れのなかで、こんな意味かなと推測する「いいかげん読み」の繰り返しも英語に関するセンスを高める上で大変に役立つでしょう。
たいせつなのは、一度調べた単語が出てきて意味を忘れてしまっていてもガッカリしない!ことです。3回調べれば嫌でもおぼえるし、複数回出てこない単語なら、おぼえなくても、ま、大丈夫だろうなぐらいのポジティブな姿勢が英語学習を長続きさせるコツだと思います。
「英語学習はかならず声に出して音読せよ」とよく言われます。
声を出すことで音が耳から入り、記憶に定着しやすいらしいです。
長文のニュース記事を読むときには、つい内容を読み飛ばしてしまいがちになるのも防げます。
私の場合は、時間が許す限りほぼ毎回音読するようにしています。
ただ平坦に読むだけでなく、ドラマチックに強調点は区切りながら、ときには身ぶり手ぶりでバラク・オバマ元大統領を気どって、音読します。
こうすることで、普通に音読するよりも英語の構造が体にフィットするようになってきた気がしています。
英語学習は全身をつかって体になじませていくのがおすすめです。
時間があれば、一つのニュースを見出しだけでも、いくつかの海外ニュースサイトで見比べてみるのをおすすめしたい利用方法です。
モノの見方にも、色々あるのがわかりますし、また同じ内容を違った単語で語っているのを見ると、言い換え可能な単語のボキャブラリーが増えていきます。
一通り記事を読んだら、自分の言葉で(もちろん英語で!)要約してみるのも、英語学習の王道です。
この記事は_____________________について書かれたものである。
事実としては____________________が起こった(When、Where、Who、What、Whyの5Wをおさえるようにする)
その背景には____________________がある。(ここでもWhen、Where、Who、What、Whyの5Wをおさえる)
この事件との反響として_____________________________のような声が上がっている。
今後、_______________________が起きないかが危惧される。
・・・ぐらいのフォーマットを基本に置くといいでしょう。
a.頭で考えて口に出してまとめる。
b.ノートやPC上に文章としてまとめる。
c. 〃 まとめた上で、それを横目で見ながら口に出してみる。
どのやり方も、英語の文章を頭の中でつくりあげる能力を鍛えるために、ものすごく役に立つはずです。
英語能力の最高峰であり、ビジネスイングリッシュに不可欠なのは議論する力といわれます。
一方で、日本人が世界に出たときに、いちばん足りないと言われるのも、この能力で会議のときYes, I agree to it.しか言わないと批判されるケースも多いようです。
一読した記事に関して、自分の意見がある人は、口に出す、文章にするなどのまとめかたをすればいいでしょう。
それまで、あまり考えたことのないテーマに関しても、記事のなかに登場する人物に無理矢理反論するような方法で意見をまとめるトレーニングをするとディスカッションの技術づくりに役立ちます。
「会議の場所で思ってもいないことを発言する」のは、洋の東西を問わず案外必要とされるものなので?大変に役立ちそうですね。
まとめ:1日1記事10分間、英語ニュースと付き合ってボキャブラリーと英語体力を身につけよう
英語トレーニングにニュースサイトを使う大きなメリットは、毎日苦労しなくても新しい教材が得られる点にあります。
多くのサイトでは、ネーティブスピーカーが語っている映像まで見られます。
英語に対するセンスを向上させていくコツは、少しでも多くの機会をつくって英語の海に体を浸していくことなので、これほど手軽で有効なマテリアルはないともいえます。
英語学習のウォーミングアップランやストレッチと考えて、学習のはじめにPCを開いて毎日10分間、ニュース読解をつづけてみてはいかがでしょう?
1年後には、さまざまな方面での英語体力や、TOEIC試験に必ず役に立つボキャブラリーも身についているはずです。
ぜひ、お試しください。
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