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そこそこの英語力でTOEICリスニング&リーディング800点をめざす。私の場合。準備編

2021年10月26日
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Learn with Coach Englishに寄せられる英語学習者の声のなかで大変に多いのが「TOEICスコアアップのための方法を知りたい」というものです。

日本において英語能力の3大指標はTOEIC、TOEFL iBT、英検ですが、TOEIC受験者は英検の約3倍、TOEFL iBTの10倍近くいるようです。

企業での海外勤務の基準としてもっとも使われているのもTOEICのようで、その必要があって学習する人も多いでしょう。

とはいえ学習がつらくて挫折してしまう人が少ないのも、この世の常。

天才でも英語ネーティブでもない人が、勉強に楽しみを見つけながらTOEICハイスコアをめざす方法があればいいですよね。

ということで今回も自称英語学習オタクなライターで全国通訳案内士のTakさんに「そこそこの英語力の人ががんばってTOEICのスコアを上げる方法」「どうしたら、メゲずに頑張れるか」を経験にもとづいて語ってもらいました。

 

「TOEICって何?」から8か月で800点突破!

TOEICテストに最初にチャレンジしたのは、2013年でした。

1回目は715点。

半年後に受験した2回目に855点までアップしました。

その後、ときどき受験して、795点までダウンしたこともありましたが(TOEICスコアによる一次試験免除で通訳案内士の資格をとった後なので、冷や汗ものでした!)最高は870点になりました。

それ以前から英語を読む習慣はしていましたが、TOEICテストがどのようなものであるかも全然知らずに、受験してみようと思ったのは2013年の4月のこと、8か月間での800点突破はまぁまぁだったと思っています。

(余談ですが、このスコア、きわめて微妙なものですよね。英語と関係ない場所にいる人には「すごいですね」と言っていただける一方、900点台や英検一級の取得者がごろごろいる通訳案内士の世界では、ネアンデルタールのような目で見られます笑)

さて、私の場合、TOEICテスト突破のために使用した教材は以下のようなものでした。

 
  1. 公式問題集 (確か3冊ほど買いました)
  1. 朝日出版新社TOEIC特急シリーズ(5、6冊?)
  1. Z会800点突破コース(通教教材+通学4回、確か4万円ぐらいだったような)
 
  • 1.は基本。TOEICテストの受験者には必須の教材です。
  • 2.はターゲットごとに(例:「700点をめざすパート3&4」)という風に集中して学べる問題が集められています。音声データも無料でダウンロードできます。
  • 3.は学習方法や当日の問題に対する対応法など姿勢づくりに役立ちました。
 

でも、いま考えてみると、あまりいろんな教材に目移りするよりも、まず公式問題集を徹底的にしゃぶりつくすのがいいのではないかと思っています。

以下、最終的に私がたどりついた学習方法について紹介してみます。

 

公式問題集は丸ごと記憶してしまうぐらいの気持ちで

これからTOEIC受験を志す人は何をおいても最初に、最新の公式問題集(ETS発行)を買いましょう。そしてボロボロになるまで聞きたおしましょう。解きたおしましょう。

公式問題集とは、TOEICを運営している組織が「こういう感じの問題を出しますよ」と宣言しているわけですから、他のどんな予想問題より確かでしょう。JRA日本中央競馬会が予想紙を出したら(もちろん違法ですが)どんな競馬新聞より当たりそうですよね。それと同じです。

もう一つ大きなポイントは、実際のテストを担当している同じスピーカーがかなり公式問題集にも登場していることです。リスニングの場合、一般的な能力と同時に個々の発音に対する慣れも大きな要素となります。同程度のリスニングテストで、一度聴いたことあるスピーカーとそうでないのは、大きな違いになります。

さて、公式問題集の使い方ですが意外と多くの人が、一回通しでチャレンジしてみて、その後答え合わせで正解確認するぐらいで付き合いをやめてしまうようですが、もったいないと思います。

TOEIC受験のために必要な基本情報がパッケージされているわけですから、繰り返しTOEICの世界に浸って体でおぼえることをおすすめします。

リスニングの場合、確実に45分で終了します。毎日45分ずつ繰り返し聞いても、それほど大きな負担にはならないでしょう。

公式問題集にはスクリプトもついているので、最初のうちは、問題も解答例も、毎日一緒に音読しましょう。

そうしているうちにスクリプトなしでシャドーイングできるようになるので、そのときにはリスニングも成長してきた証拠じゃないかと思います。

もちろん、知らない単語が出てきたら(対訳をみれば大体わかりますが、それでもわからなければ)辞書で確認すること。

2週間もすれば、問題と答えと、答えが正解な理由と、それ以外が不正解な理由が頭にたたき込まれることになります。

これは受験を前にしてかなり大きな自信の裏付けになりますよね。

TOEICはもちろん英語力の指標となりますが、その世界のトーン&マナーに精通することで「実際の英語力より好スコア」を出すことも可能になります。その道案内をしてくれるのが公式問題集なので、いろんな教材に目移りするより、まずこれとがっぷり四つに取り組むことをおすすめします。

 

時間は気にせず、個々の問題に徹底的に決着つける

TOEIC参考書などによく「必ずタイマーをかけて問題を解け」と書いてありますが、私はあまり賛同できません。

学習をはじめる段階(実力を知る!)と受験間際(実践練習)に時間を図って学習するのはいいでしょう。でも、実力をつける段階では、細かいところが見えなくなるデメリットがある気がします。

TOEICテストの基本として、

 
  • 筆記式ではなく選択肢から三択または四択で選ぶ。
  • 正解は必ず一つで、どちらでもいいということは絶対ない(たまにあるような気もしますが笑、その場合は出題ミスです)
 

ということは、三択中2つ、四択中3つの選択肢は、間違っている明白な理由があるわけです。

その「理由」をきっちりと言語化してつぶしておくことが文法問題対応力の強化になります。

受験当日の時間短縮にも結びつきます。

たとえば(こんな簡単な問題は実際ありえませんが)

He (          ) to New York yesterday.
  1. will go
  1. go
  1. goes
  1. went

とあったとしたら 4以外ありえません(TOEIC300点以上の人なら全員正解のレベルですよね)

1は未来形なのでyesterday(昨日)の話には使えない。

2, 3は現在形なので    〃

4 yesterdayは過去なので過去形が適当。

以上です。

 

松任谷由実、昭和時代のアルバムに「昨晩お会いしましょう」がありますが、TOEICの場合には考慮しないでいいでしょう。

また日本語の慣用句(罵倒語)の「おとといおいで」も、Come back on the day before yesterday. が英語の慣用句にないので無視しても平気です。

a, b, c, dが選択肢が上のような素直なものなら問題ないのですが、ときどき出題者は、以下のような選択肢をぶっ込んできやがるので油断できません。

He (          ) to New York yesterday.
  1. had been going to go
  1. has been going to go

受験の場で、このような問題に出くわしたとしたときには、SF/ファンタジーの世界でも松任谷由実の世界でもない、2021年の地球でありうる設定かどうかを判断しなくてはいけません。

1の場合、過去完了進行形+予定を示すgoing toなので、

「yesterdayに設定されていた予定が、ある期間継続し、中止になった」という状況がありえるならば○になります。

つまり

「起点は明確ではないが、ある時点から昨日ニューヨークに行く予定があったが、過去のある時点で、その予定はなくなった」

という状況はSF/ファンタジーでなくてもありうるので○になります。

ところが2は、現在完了進行形+予定を示すgoing toなので、予定は現在もつづいている(もしくは、たったいま、この瞬間に予定がなくなった)ことになります。

「昨日ニューヨークに行くという予定が現在もつづいている」という状況はありえないので×です。

というような思考を受験当日の時間内で行うのは相当なタイムロスになります。事前に一度頭のなかで試行して位置づけておけば受験当日、類似問題が出たときに一瞬で処理できるわけです。

「選択肢が間違っている理由」にこだわって決着つけておくメリットは、このへんにあると思います。

とくにPart5の文法問題などは、問題およびすべての選択肢とじっくりと見つめ合い、それぞれの位置づけを理解して、同様な問題が出てきたら確実に正解が出る準備をしておきたいものです。

文法問題は詰め将棋のようなものなので、棋士が詰め将棋を山ほど解いて、そのパターンをおぼえるのと同様に、TOEICテストの文法問題も「間違い選択肢」まで含めたしつこい理解をすればするほど、スピード・正確性ともに向上していきます。

 

長文問題に関しては、パターンをおぼえて正解がみつかる場所を予想する

 

TOEICの基本は、英語社会にありがちな日常の情景ということになっています。

Part7の長文問題では、企業の社内文書、転職の推薦状、新聞広告、チラシ、新聞記事、ビジネスメール、顧客からのクレームと対応などが使われることが多いようです。

そして、その構成はきわめて一般的なものとなっているはずです。

よくありそうな新聞記事の例。

「図書館で寄付金集めのために有名な学者の講演会を行う」

TOEIC経験者ならだれもがうなずく「あるある」でしょう。

で、新聞記事をよく読む人ならわかるのですが、たいてい同じような流れになります。

 

1.○月○日、○○図書館で○○大学の○○教授を招いて講演会を行うという基本情報。

2.講演の内容。「○○市における○○問題に関する提言」的なことを話します。

3.○○教授の略歴。どこで育って、どこの大学に行った、どんな研究をして著名になった。代表的著書は「○○○○における○○の諸問題に関する研究」

4.今回の講演会に至る○○図書館の背景。「建設後100年を経て改修が必要になった」「蔵書拡大資金がショートしたため」みたいな。

5.講演者(また主催者)からの一言「この機会を生かして、○○○な社会運動を広げていきたい」。

6.参加方法および費用。詳しい情報はWebサイトを見てください。

もちろん、すべてがこうではないですが、多くの新聞記事の骨子はこんな感じではないかと思います。

ということは?

TOEIC試験の設問で、

💡
1.○○教授の代表的著書について聞かれたら、前半の終わりぐらい
💡
2.講演会の目的は2/3ぐらいのところ
💡
3.参加方法については最後のブロック

を見たら比較的早く正解を見つけることができそうですね。

(「読者がWebサイトに行く理由は何か」みたいな問題もよく出ますよね、もちろんこれも最後のブロックに直行です)

企業の社内文書、転職の推薦状、新聞広告、チラシ、新聞記事、ビジネスメール、顧客からのクレームと対応など、いずれにおいても基本パターンがあり、これを知っているとかなり有利になりそうですね。

たとえば、TOEICの公式問題集を解きながら「このような情報は、このような順序で語られる」ということを確認しておくと「長文を最初から全部読まなくてはいけない」というつらい状況も減りそうです。

限られた時間内で解答するTOEICの長文問題をすべて熟読していっては絶対時間が足りなくなるので「読まなくても正解に至る」方法をどう見つけていくかがスコアアップの鍵になります。

 
 

このほかTOEICテストに関して知っておくと役に立つかもしれない(立たないかもしれない)こと

・TOEICの問題には難易度の異なる「メジャー」「マイナー」の2種類がある。

比較的むずかしい方がメジャー、簡単な方がマイナーと呼ばれ、同じ試験日程で2種類の問題が使われます。一説には採点精度を上げるためだといわれます。難易度が高い方が不利に思われますが、TOEICのスコアは統計的手法で配分されるので「同じ人間が受ける限りどちらを受けても点数がほとんど変わらない」ように設計されています。とはいえ、実感値的に私の場合はマイナーの方が好スコアになるようです。時間を短縮して少しでもスコアを上げようとしてあの手この手を考える不届き者は実力勝負のメジャーは不利になるのかもしれません。

 

・TOEICテストにはブラック企業は登場しない。

ある参考書のリスニング問題で「利益を上げるためには従業員の残業時間を増やすのがいちばん」というような結論に全員賛同するというようなものを見たことがありますが、実際のテストでは、このような社会的に問題がある結論にはならないようです。また男女共同参画社会を先取りして上司と部下の会話はたいてい女性が上司です。ということは、解答に迷ったときには「企業として正しい決断」を選ぶといいかもです。

 

・TOEICの世界では・・・

「TOEICの世界の歯科医アシスタントは予約のリスケ電話をかけるために存在している」「飛行機は必ず遅れる」「企業は新入社員歓迎のためにピクニックを行う」「犯罪は存在しない」「食事の場所を決めようとすると誰か1人が割引クーポンを持っている」・・・など。

(TOEICの世界には現実とは微妙に違った謎ルールがあるようです。このことを楽しくまとめてくれた本(小説?)に「不思議の国のグプタ/ヒロ前田、清流院流水」があります。

https://www.amazon.co.jp/%E4%B8%8D%E6%80%9D%E8%AD%B0%E3%81%AE%E5%9B%BD%E3%81%AE%E3%82%B0%E3%83%97%E3%82%BF-%E3%83%92%E3%83%AD%E5%89%8D%E7%94%B0-ebook/dp/B00CQ1N8OQ

TOEICの世界を楽しむためにもおすすめします)

 

近道はないが、王道の学習法を楽しむ環境をつくれば好結果への道も開かれる(かも)

ここまでいろいろ裏技的なことも語ってきましたが、本当のところ「TOEICテストに裏技や近道は存在しない」と思います。

地道なトレーニングを長時間つづけた人にいい結果が出るきわめて公平なテストがTOEICです。

そうなると(私のような横着な人間が考えるのは)どうすれば苦痛の少ない学習が可能になるだろうかということで、見えてきたのがここに紹介したような方法です。

個人差はあるのでしょうが何百もの単語を「1日20ワード」とか決めて丸暗記するのは、私にとっては苦痛です。

スコア990点をめざすのと異なり800点というのは「ある程度間違えてもいい」設定です。

「自分流」の方法を見つけて試してみて、仮にいい成績が出なかったとしても、じつに有意義なPDCA(Plan-Do-Check-Action)サイクルの実践になると思います。

それぞれの人が、それぞれに毎日の学習を楽しむ方法をみつけながら、学習を継続させて目標とする結果が得られるといいですね。

 

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