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こんにちは英語学習オタクの通訳案内士&ライターのTakです。さて、今日は発音の話。私はTOEIC870点を取り全国通訳案内士の資格取得者でGoWithGuideの人気ガイド(自分で言ってはいけません!)ですが、発音に関しては完璧でないというイヤな定評があります。
自分なりに一生懸命正しい発音しようとしているのだけれど、ネィティブスピーカーと話しているとときどきah?と言われてしまう場面があります。何度繰り返してもah?のままのこともあります。これは結構きついものです。
あるお客様からは、though he has a Japanese accent(Takには日本語のアクセントがありますが)とレビューいただいたこともあります。ま、それでも★★★★★をいただき、highly recommend him to anyone visiting Japan who wants to save time and focus on making the best out of their trip(時間を節約し、旅行を最大限に活用したい日本を訪れる人には、彼を強くお勧めします)と言っていただけたのが人気ガイド! のゆえんなのですが。わっはっは。
それはさておき、やっぱり発音が完璧でないのはよくないので、原因はどこにあるのか?今回は、しつこく追及してみました。以下、英語の発音いまいちな人気ガイド笑が、改善のための糸口をたどってみたレポートを、前編後編2回に分けてお届けします。
耳コピ派とフォニックス派
耳コピ方式の限界とは?
さて、日本語話者が英語の発音を学ぶとき、その方法には耳コピ派とフォニックス派と呼ぶべき流儀があるような気がします。
耳コピ派の主張を大雑把に言うと 「発音なんてこむずかしく考えなくていいから、とにかく発声する機会を増やしなさい。ディクテーションとシャドーイングを徹底的に習慣化すること。ネィティブの発音を耳コピしてマネをすれば勝手に発音よくなりますよ」 というもののようです。
じつは私は、そちらの影響を強く受けていて「CNNレポーターやTed Talkの英語を徹底的にマネしたぞ。なんか凄くかっこよく発音できるようになったぞ。でも、ネィティブと会話をしたら通じなかったぞ(しょぼん)」という経験を繰り返してきたわけです。
ところが最近、ネットで見た記事によると、この方法には人間の脳構造的に問題があるらしいことがわかってきました。
「人間の脳は耳から入ってきた音を自分の経験にもとづいて理解するようにできている。たとえば英語のæ という『あ』と『え』の中間のような音が耳に入ると、日本語しか知らない人は自然に『あ』か『え』と聞こえてしまいマネしようとしても『あ』か『え』になってしまう」
つまり、ディクテーションとシャドーイングにたよる発音練習には限界があるということのようです。ネィティブスピーカーたちからah?と言われてきた原因は、ここにあったのかもしれません。
では、どうすればいい?そこで視野に入ってきたのはフォニックスという考え方でした。
口の形と舌の位置に徹底的にこだわるのがフォニックス流
フォニックスは「アルファベットで示される英語の読み方のルールをおぼえる学習法」といわれます。というと「あ?子ども英語教室でやるやつだよね。中学・高校で基礎を学んだ大人には関係ないよね」と思いがちです。
でも、最近、おとなの英語学び直しにもフォニックスは意味があるという声もよく聞くようになりました。フォニックス学習は英語の基礎の基礎として「口の形」「舌の位置」に徹底的にこだわって正確な英語の発音を練習していきます。
「よしわかった、そんなに私の発音が間違っているというのなら、徹底的に練習してPerfect Englishっぽくしてやろうじゃないか」。つまり「耳でマネして発音する」という方法の限界を「口の形と舌の位置から発声方法を修正して、無理矢理正しい発音にしてみよう」という試みです。
そのためのツールとして、今回私が選んだのはELSA SPEAKというスマホむけ英語発音矯正アプリでした。
ELSA SPEAKとは?
ELSA SPEAKはiOSやAndroid端末で使える英語発音トレーニングのためのアプリです。アメリカに本拠を置くELSA corp.が開発したもので、各国語を話す人たちが陥りがちな発音ミスを研究し、それぞれの課題にあった発音練習法を提供してくれます。
ちなみにApp内課金により月900円、3ヵ月1,950円、1年間5,900円でフルコンテンツを利用できます。日本企業が提供する英語学習アプリのアカウントは月3,000円代のものが多いので、かなり割安といえそうですね。
使用方法はきわめて簡単。つぎつぎと示される単語や短文を見本どおりに発音します。
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問題が、こんな感じで出され、見本となる発音を聴いてマネします。
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発音が悪いと、こんな風に言われちゃいます。
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うまく言えない単語は一つ一つ練習できます。 (音素が一つずつ確認できるので、フォニックス読みの練習にもなります)
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単語ごとに練習して、合格がでたら、元の画面で再度挑戦!
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やったね!合格だぜ!この繰り返しにより発音強化を図っていくというものです。
一月間毎日発音学習をつづけた途中結果
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37日連続で合計2,522分は我ながらなかなかなものです。デスクワークの合間にちょいと発音練習が手軽にできるのが継続できた大きな要因でしょうか。とはいえ私の場合、ほかの仕事に煮詰まったときほど、ついスマホに手が伸び発音練習の時間が長くなり、本業の作業量と発音の上達が反比例する傾向があるので困ったものです。
さて、アプリによる発音練習。はじめてみて、驚きました。これほど多くの発見があるのか、と。言葉を変えれば耳コピ方式で、それっぽく喋ってきた発音がこれほどに完璧でないものだったのか?t、p、bといったごく当たり前に使っている音まで「正しい発音ではありません」と言われたときには衝撃でした。
以下、1月間ELSA SPEAKを使ってみて、少しずつ見えてきた私の発見です。
日本語をおもに話し一昔前の小学校でローマ字を習った人間にはaは「あ」であるという先入観があります。でも、フォニックス読みを少しかじると、aの基本はæ(私にはむしろ「エア」と聞こえます)だとわかります。そして、ぼっとしている「あ」にしか聞こえない音も実は、ʌ ɑ ɔ æ əと多くの種類があるようです。
順番にチェックしてみましょう。
ʌ:短く明確に「あ」と発音する。cut、butなどuの文字で示されることが多い。putは違うがputtはこの音。
ɑ:口を大きく開けて「あ」と発音する。日本語の「あ」に近いのだけれど、アメリカ英語ではstop、pocketなどの本来はɔのものもɑで発音されることが増えているので、ややこしい。
ɔ:口を大きく開けて、でも心では「お」と発音するall、augustなど。
æ:参考書などによると「あ」と「え」を同時に発声するという無理強いをする音。cat、backpack(前後両方)、andも強調するときは、これで発音されるようです。
ə:曖昧母音。思い切り無気力に「うー」と「あー」の中間のように発声する。今回学んでみて、じつはこの音が大変なくせ者だということがわかりました。bananaという単語、真ん中のaはæなのですが、最初と最後のaはəで思い切り無気力に発音します。そして、この音、単語のなかのi、e、ouなどと表記されている部分でも「強調したくない」部分には使われます。日本語者の感覚からするとiやeがでてきたら「い」とか「え」とか、その中間とかで発音したくなりますが「う-」と思い切り無気力に発声するのが正しい英語になってしまうのです。
大事なポイントは、ə音は思い切り無気力な音なので絶対にアクセントを入れてはいけないことです。この音にアクセントを入れてしまうとELSA SPEAKもエラーが出るし、ネィティブには同じ単語には聞こえずah?と言われてしまいます。まるで幽霊のような音であり、この「とりあえず発声はするもののできるだけ目立たせないようにする」というのは、私にはかなり困難で、まだまだ練習が必要です。
前の方にも書きましたが、このアプリで練習してすぐに、おそらくはputのような単語で点数が低く出て、確認すると「p音が正しくない」というようなことを言われたときには仰天しました。
学校の英語でも以前通ったベルリッツなどでも間違いが指摘されたことは一度もなく、ふつうに「む」「ぷ」「ぶ」と発音していたm、p、bがどうやら正しくないようなのです。
調べて見ると、m、p、bは日本語の「む」「ぷ」「ぶ」に比べると、もっと勢いよく発音しなくてはいけないというので頑張って威勢よい音を出そうとしても顔にばっかり力が入り音にはあまり反映しません。
そこでもう少し調べて見ると、大切なのは唇の形のようです。「唇を内側にしまい込むように」と説明され、どういう意味か考えあぐねながらもあれこれと試してみると、「上下の歯の間に上下の唇を内側に折るようにしてから解放してやる」と確かにm、p、bの威勢よい音になるようです。
唇の持つ弾力性を最大限に音に反映させるために「唇を内側にしまい込む」という理屈がわかってみると、なるほど、であり、確かにELSA SPEAKの点数もよくなりました。
ということで、発音をめぐる長い旅路は後編につづきます。
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