interview

「理系出身でも英語はできるようになる!」- 楽しめば英語力は上がる!

2021年07月5日
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by Mayumi
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英語を使う仕事はいろいろありますが、英語4技能の中でも「スピーキング力」が必須の通訳案内士。彼らはどうやってその英語力を身に着けたのでしょうか? あなたが目標に到達するためのヒントがここにあるかもしれません。

 

本日のゲスト :Uemitsu (全国通訳案内士)

  • 資格 : 英検1級、TOEIC 915点、TOEFL 627点、GMAT 600点、通訳案内士 (英語、中国語)
  • 海外経験: ホームスティ (3週間)、大学院留学 (10か月)、海外旅行 (50回以上)
  • 外資系企業で 25年勤務、グローバル市場製品開発4年、APのマーケッティングリーダーを4年間経験
  • 現在はマッチングサイトを中心に通訳案内士の他に、イベントなどの商談通訳に従事
  • 2013年~2019年までの通訳案内士稼働日数は100日、商談通訳日数は120日程度
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Q & A

  • 英語を飛躍的に伸ばした時期の目標設定は?(どの程度からどの程度へ?) また、かかった期間はどれくらいですか?

大学は工学系だったので、社会人なり立ての時は受験英語レベルの能力しかなく、就職先も技術職でした。しかし、外国に憧れがあったので、将来海外に行ける仕事に就きたいという気持ちが強くなりました。調べたら、英検1級レベルの英語力が必要という事を言われ、実用英語講座などの教材を購入して独学で学びました。

最初は知らない単語、聴きとれない表現ばかりで、悪戦苦闘したが、弱点の部分を1週間単位で繰り返し学習することで、1年後には英検1級の1次試験をパスしたが、やはりリスニング力が付かず、2次試験は不合格でした。

そんな中で、外資系の会社に転職して世界向け製品を開発する部門に配属されました。職場ではドキュメントやメールなども全て英語を使っていたので、英語の読み書き力が飛躍的に向上し、目標を立ててから4年後の 1988年に英検1級を取得できました。合格した背景には自分の学習に加えて、仕事の中で英語に触れた時間が増えたお蔭と考えています。

その後数年は慣性で仕事をこなしたため英語力は向上しませんでした。ただ、30代になって、より国際的な部署へ異動したいと思い、海外への留学を目指してTOEFL と GMAT の受験準備を始めました。

その時、英検1級レベルのリスニング力とリーディング力では不足していたので、初回のTOEFLは 575点しかとれませんでした。そこで、近所の TOEFL受験教室に週1度通いながら、弱点補強をした結果、1年後は大学院に入学可能な627点を取って、パリにある大学院に10か月程国際ビジネス学科へ留学しました。

帰国後もさらなる語学力を上げるために、定期的に通訳学校、早稲田大学の社会人向け講座に通い、2006年に英検1級の資格者は1次試験免除の制度を利用して、通訳案内士を取得しました。通訳案内士では2次試験のために日本の歴史や文化を話す練習のために、受験予備校に週1回で、2ヵ月程通いました。

 
  • 一番英語を勉強していた時は、一日何時間くらいやっていましたか?

一番英語に触れた時期は留学の10ヶ月間でした。ただし、英語を勉強するというより、英語で勉強する状態で、平日の殆どは講義や同級生とディカッションで6時間、教材の予習家で5時間、土日は宿題のレポート作成に8~9時間、英語と付き合っていました。次に大変だったのが、TOEFLの受験期間です。仕事も結構忙しかったので、平日は平均して3時間、休日は8時間ぐらいでした。ポイントは語彙補強とリスニング力アップでした。

 
  • そのときはどのようなことをやっていましたか?

英検1級やTOEFL 受験はとにかく一定以上の語彙力とイディオムの表現を身に付ける必要があるので、ひたすら問題集と単語帳と取り組みました。単語の記憶に関しては、1語1語分解して覚えるのではなく、できるだけ意味がある塊で覚えるようにしました。例えば、’take’, ’care’, ‘of’ , ‘children’ ではなく、’take care of children’ というような感じです。今から見ると効率的な勉強法とは言えないが、当時はまだ市販の教材の音源がカセットテープしかない時代なので、音読ではなく、黙読と文法中心の学習法しか取れませんでした。一方リスニング力をアップするために、教材テープを繰り返す聴く他に、NHK のラジオ講座を聴いたり、月1回洋画を観るように心がけました。その時期に覚えた語彙や表現は現在もすぐに使えているので、自分に合った学習法だったかなと思います。

 
  • 英語学習の目標達成に障害はつきもの。どんな障害をどう克服しましたか。

今もそうだが、ネイティブとの付き合いが少ないために、中々リスニングとスピーキングの力が向上しないのが悩みです。リスニング力不足により、英検1級やTOEFL 受験では中々いい結果が出ませんでした。当時は良いリスリングの教材が少なく高価だったので、代わりにラジオ講座、2か国語ニュースと洋画観賞の機会を増やすことで、目標とするレベルに到達できました。留学した初期もネイティブスピーカーよりディカッション力が不足していたが、積極的に授業中に発言したり、休み時間に外国人の学友の会話に参加することにより、徐々に克服できました。

 
  • おすすめの教材や効果的な使い方があれば教えてください。

昔と違って、今の時代はネットで無料の学習環境が整っています。例えば、東京外語大学では言語モジュール (http://www.coelang.tufs.ac.jp/mt/en/)、ネット経由のニュースサイト (NHK World News, BBC, CNN等)、YouTube、TED などの動画サイト、更に無料アプリ (BBC Learning, Cake等)も沢山あるので、自分のレベルに合わせて、ゲーム感覚で学習していくのも効果的と思います。

さらに、ここ数年にAIの機能が格段に進歩しているので、自分専用の英語教材を作りながら英語を同時に学習していくのも楽しいかもしれません。例えば、音源が無い単語帳、ニュース記事やテキストなども、Google レンズ機能で文字をデータ化して、それを Google Text-to-Speech 機能を使って読み上げた音声を聞き取るような21世紀型学習法もお勧めです。

 
  • 勉強のモチベーションが下がった時、どのようにモチベーションを上げていましたか?

モチベーションを維持するためには定期的に能力向上を確認して、苦労を喜びに変える事が必要と思います。

同じ教材を何度も繰り返して学習する方法がよく勧められているが、個人的には余り好きではありません。段々惰性化し、向上度の確認が難しく、モチベーションが下がることが多いからです。そこで、私はマルチ教材学習法を取りました。例えば、複数の出版社から同じレベルの問題集や文法書を購入して並行学習しました。説明する内容は同じでも、その言い方によって違う観点から新鮮に感じたりして、より印象や記憶に残す事も可能です。また、各社の説明の違いを比較し、優劣をつけたりする事で、受動的ではなく、能動的な方法で学習することで、惰性化しないようにしました。

また、テキスト学習だけでなく、違ったメディアを通じて自分の能力チェックも行っていました。映画やTVニュースの中から知っている単語やイディオム表現を聞き取れたとか、使われた場面を見つけたとか、下らないレベルでも自信を高めるように心がけました。

例えば、「トップガン」の中で、’I can hold my own’、’Then I do have to worry about your making a living.’ など、習ったばかりのイディオムをナチュラルスピードで聴きとれた時は努力した甲斐があったと実感しました。

さらに、定期的に海外旅行に行き、現地の文化に触れることにより、自分の能力を再確認することもモチベーション維持に役立ちました。

今でも、FBなどの SNSの英語勉強グループに参加して、刺激を与えてもらっています。

 
  • 英語をお仕事で使えるレベルになりたいと思っている学習者へのメッセージをお願いします。

英語を仕事に使うレベルにもいろいろあります。英語を補助的に使うような業務、英語のアウトプットだけで情報を伝える通訳案内士、そして、複数の言語のインプットとアウトプットを瞬時に切り替えて、ビジネスや外交の架け橋の役割を担う通訳者など幅が広いので、各自が目標とするレベルを明確にして、学習していくのが必要です。

ビジネスレベルの英語なら、高校で習う英語を完全にマスターすれば十分対応可能なので、基本文法と業務分野の単語を復習すれば、1年ぐらいで英検2級から準1級のレベルに到達し、スムーズに業務をこなすことが可能になると思います。

次に、通訳案内士などのようにほぼ特定分野の知識を英語で伝えればいい仕事は、ビジネスレベルの語学力の他に、日本の文化、歴史、時事などその分野の専門用語と表現を身に付けた上、相手の理解度に合わせて分かり易い英語で説明する学習法は不可欠になります。

最後に通訳レベルですが、これははっきり言って特別な分野と考えるべきです。よく言語は「読む、書く、聴く、話す」の4技能に分類されますが、「訳」は別技能と言うべきと思うので、この部分の上達法はもっと上級の通訳者方にお譲りしたいと思います。

いずれにしても、「継続は力なり」の諺の通り、語学学習は生涯続けることが大切です。そのためには学習する中に面白さを見つける事が必要です。自分が目指す英語のレベルを明確化にして、複数の学習法の中から自分に合う方法を見つけて、楽しむ事を続けていけば、必ず目標のレベルまで能力アップできると確信しています。

私の英語学習は転職、キャリアップのための受験英語がスタートでしたが、その根底には字幕なしで英語の映画を観たい、旅行時に現地の人と楽しくコミュニケーションを取りたいなど、英語を使って人生を楽しむ意欲があったから続けて来られたと思います。

ただ、中学校1年から50年以上英語を学習しても、ネイティブのレベルまで届いていないので、今後も英語を通していろんな事を学びながらレベルアップしたいと考えています。その一環として今年の2月から英語のアプリを使って、フランス語を学習しています。2年後には英語が余り通じないフランスのワイナリーにホームスティして、一緒にワイン作りをする自分をイメージしながら頑張っています。

 

ゴールへの道は一つではありません。でもそこにはきっと何か共通点もあるはずです。あなたが実践的な英語を身に着けるための学習のヒントが得られるよう、これからも英語の達人をお招きしてお話を聞いていきます。

 

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