interview

「母国語レベルまでは到達できる!」英語学習 - 意識づけ&習慣づけ

2021年06月16日
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by Mayumi
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英語を使う仕事はいろいろありますが、英語4技能の中でも「スピーキング力」が必須の通訳案内士。彼らはどうやってその英語力を身に着けたのでしょうか? あなたが目標に到達するためのヒントがここにあるかもしれません。

本日のゲスト :Tom(英語全国通訳案内士)

  • TOEIC930、英検1級、全国通訳案内士(英語)
  • アメリカ23年、シンガポール3年、香港4年駐在。他、欧州、インド、アセアン、中南米を、「飛び込み営業」で駆けめぐった。
  • 2018年・2019年の観光通訳ガイド稼働日数は2年間で約200日
  • デンバー市長、映画ジュラシックパークの助演男優もガイド実績あり
  • 英国Guardian誌、米国Forbesの記者もFAM TRIPでご案内
  • YouTubeの英語ガイド自己紹介ビデオ視聴回数1000回超
  • プロゴルファー・トムワトソンと20年以上の親交。
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Q & A

  • 英語を飛躍的に伸ばした時期の目標設定は?(どの程度からどの程度へ?) また、かかった期間はどれくらいですか?

私は、現在67歳なのですが、実は、英語力が最も飛躍的に伸びたのは、最近だと思っています。20代で英検1級を取得したり、日本企業の海外駐在員として、アメリカやアジアに駐在して「出稼ぎの行商」のように、各地を、サンプルをかついで回り、飛び込みの商談をしたり、実戦での英語はある程度マスターしましたが、単なる「会話」ではなく、或る程度の人数を前に或るテーマで話す「スピーチ」は、最近(2018年から)、英語の全国通訳案内士になってから、きちんと修得したと思います。

重要なきっかけは、ユーチューブの、英語・全国通訳案内士(ガイド)の自己紹介ビデオ作成でした。特に、将来のお客様に見て(聴いて)頂くためのビデオですので、自分として、ベストのプレゼンテーションを目指しました。その際の目標設定は、「自分の言いたいことを2分以内に、わかりやすく正確に話す事」でした。これは、できるようで、なかなか難しいことだと思います。ガイドとして、お客様からどんな話題を振られても、即座に答えられる-最初は結構ハードルの高い目標でした。聴衆は、みなさん、英語のネイティブですので、彼ら、彼女らに、わかりやすく、「ああ、なるほど」、と思って頂ける事を目標としました。つまり、レベルとしては、「ただ単に英語を話す」を、「決められた時間内に聴衆が納得してくれる英語を話す」という目標です。教科書はないわけですから、あらゆる情報にアンテナを張って準備をしました。質問は、それこそ、何がとんでくるかわかりません。日本の総理大臣と天皇はどう違うの?日本人は、なぜみんなお辞儀をするの?なぜこんなに沢山コンビニがあるの?考えてみれば、言葉というのは「何か」を説明する手段ですから、その「何か」については、常にアンテナを張って、内容を自分なりに理解しておく事、これは語学の修得には欠かせない要素だと思っています。内容が理解できていないと、言葉にできないからです。あと、英語の技術面では、発音、イントネーション、視線なども、たっぷり練習しました。いくら内容が良くても、声が小さかったり、発音が不完全だったりだと、せっかくの内容が伝わりませんので、発音は、しっかり練習したいものです!おひとりでも、スマホで、録画・録音して練習できますね!鏡を見ながらの練習も効果的です!

「自分の言いたいことを2分以内に、わかりやすく正確に話す事」という目標は、まだまだ完璧にはほど遠いですが、一応、あるレベルまでは達成できたと思っています。つまり、お客様から、急に、どんな話題を振られても、サッとそのテーマを頭の中でまとめて、2分くらいで話すことは、一応できるようになりました。ですから、日頃、テレビを観ながらでも、例えば、相撲の放送をしていたら、自分の中で、どうやってお客様に相撲を英語で説明するか、というようなことを考えたりもします。NHKでは、相撲放送で、英語の切り替えもあるので、それを聴いたりもします。

上記の目標「自分の言いたいことを2分以内に、わかりやすく正確に話す」、の達成にかかった時間は、大体1年ほどかと思います。

 
  • 一番英語を勉強していた時は、一日何時間くらいやっていましたか?

1日16時間、英語漬けだったこともあります。一日中、全く日本語を話さない日もあり、その時は、英語でものを考えていました。 まあ、アメリカなどで生活・仕事・遊びをしていたので、勉強というよりも、必然的にそうなったと思います。 逆説的ですが、それだけ(海外に住むだけ)では、真の英語の実力はつかないというのが実感で、やはり、飽くまでも、しっかりと正しい英語を、正しい方法で学習することが、上達の秘訣だと思います。つまり、英語圏に「住んだ」だけでは、「正しい」英語の修得ができるとは限らないという事で、逆も真なり、で海外に一度も住んだことが無くても、素晴らしい英語を話す日本人の方は、日本には、たくさんいらっしゃると思います。

 
  • そのときはどのようなことをやっていましたか。

良いアウトプットをするためには、良いインプットが不可欠、つまり、良い教材を、耳と目から吸収することだと思います。その意味で、CNNのアナウンサーや解説者、TEDを片っ端から聴き、わからない単語や表現はすぐにメモして、辞書で調べました。あとは、音読です。東京の通訳者養成学校「サイマルアカデミー」で、通訳のトレーニングを受けた時も、プロの通訳者の先生方は、みなさん異口同音に、「音読の大切さ」を強調されました。「自分でイイな」と思った本やコラム、文章などを、何度も声に出して音読すると、やがて、それが、自然に自分の口から出てくるようになります。不思議なものですね!自分で良いと思った文章、共感できる内容や表現を、何度も暗唱して自分のものにして、実際に使っていくのは、とても良い方法だと思います。

 
  • 目標達成に障害はつきもの。どんな障害をどう克服しましたか。

とっても簡単です。「必ず毎日やること」です。365日、「毎日」です。1日5分でも大丈夫!とにかく「毎日」英語を話す!この決心ができれば、もう、目標は90%達成したも同様です。「乗って」来た時は、是非、数時間でも練習して下さいね!あとは、良い先生と、仲間を持つ事です。極力、英語ネイティブの方が良いです。信頼のおける、ネイティブの先生のおられる英会話学校に通って親交を深めるのも良いですし、フェースブックやLinkedInなどでは、世界中の英語ネイティブの人達と友達になれますから、頑張って、そちらの世界を広げるのも良いかと思います。本気でやろうと思えば、ある程度、予算も必要になりますね!「ことば」は、人間が、意志や想いを伝えるツールですから、CDやPCではなく、やはり、「人間」を相手に練習するのが、ベストだな、と思います。相手にわかりやすくしゃべるのは、とても大切な事ですし、間の取り方、抑揚、語尾の感じ、など、実際にしゃべってみなければ体得できない事もたくさんあります。誰かを好きになれば、その想いを、相手に言葉で伝えたい!というのは、実に自然な感情ですよね。車の運転や水泳と同じで、実際に「ひと」を相手にして習得するのが、言語学習にはとても大切だと思います。

 
  • おすすめの教材や効果的な使い方があれば教えてください。

「教材選び」は、とても大切ですので、ここは、最大限の注意をはらって下さい。「良い教材」には、「良い内容」が盛り込まれています。その教材を勉強することによって、人間的に、自分を高められる、そのような教材が「良い教材」だと思います。私が、20年来、音読に使っているのが、NAPOLEON HILL'S POSITIVE ACTION PLANという本です。私の目標は、この本の内容を、全て暗記する事で、毎日少しづつですが、音読しています。内容的にも、とてもしっかりしていて、モチベーションを高めるにはぴったりの本です。この本を音読することで、逆に、やる気が湧いて来たり、助けられることも沢山あります。内容は、1月1日から12月31日まで、一日10行ほどの文章が書かれています。月ごとにテーマが決まっていて、1月がTraits of Character(人格とは)、2月がPersonal Initiative(率先すること)、、、というふうに、ちょうど一年で、内容が完結するようになっています。大きさは、縦20cm、横12cm、厚さ 2cmほどの、小さな本ですが、持ち運びがかさばると思われる方は、1-2ページだけコピーをして、そのコピーを持ち歩いて、歩きながらでも、小声で音読するなどが、お忙しい皆さんには効果的かと思います。私も、外出時は、1枚のコピーをポケットに入れて、道を歩きながら、音読の練習をしています。大体100回音読すると、いやでも内容は頭に入り、自分で繰り返せるようになります。私は、コロナ禍以前から、特にインフルエンザや花粉の季節には、外出時マスクをしていましたから、小声での音読は、まず誰にも気付かれず、歩きや隙間時間には「隠れ音読」が効果的です。お忙しい皆さんには、是非お勧めです!1年間続けると結構大きいし、待ち時間も、「やった!時間ができた」となり、一挙両得ですね!

 
  • 勉強のモチベーションが下がった時、どのようにモチベーションを上げていましたか?

とにかく、「嫌になる前に」音読をして下さい。5分でいいです。ああ、面倒だな、と思う前が勝負です!さっと、頭を切り替えて音読をする、それを繰り返していると、いつの間にか、英語が上手になっています。「毎日英語を発音すること」、これが上達の絶対的な秘訣です。

 
  • 英語をお仕事で使えるレベルになりたいと思っている学習者へのメッセージをお願いします。

お仕事で使えるレベルの英語は、正しい表現で、正しい発音である必要があります。しかし、それを、深刻に考えすぎる必要はありません。つまり、逆に言うと、正しい表現と正しい発音という、「基本」さえしっかりしていれば、あとは、あなたの個性を存分に出されれば良いのです。基本は、母国語である日本語と同じです。「相手にとって」わかりやすい、明瞭な発音、滑舌、明確な論旨、これらを、平易な表現で話す事を目標にして下さい。難しい単語や表現を使う必要は、全くありません。日本語でもそうであったように、ひとつずつ、一日ずつ、積み上げて行きましょう。そして、日本語をしゃべらない日は、365日、一日もないのと同様、英語をしゃべらない日も、一日もない、そのようにして、是非、英語があなたの日常の一部になるように、意識して、習慣付けて下さい。日本語ができるレベルまでは、必ず英語でも達することができます。世界中の色々な人々と、英語で沢山のコミュニケーションができる、それは、あなた自身のご努力で充分に達成可能な目標です。お互いに頑張りましょう!

 

ゴールへの道は一つではありません。でもそこにはきっと何か共通点もあるはずです。あなたが実践的な英語を身に着けるための学習のヒントが得られるよう、これからも英語の達人をお招きしてお話を聞いていきます。

 

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