interview

千里の道も一歩から

2021年08月16日
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by Mayumi
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英語を使う仕事はいろいろありますが、英語4技能の中でも「スピーキング力」が必須の通訳案内士。彼らはどうやってその英語力を身に着けたのでしょうか? あなたが目標に到達するためのヒントがここにあるかもしれません。

 

本日のゲスト :Izumi(英語全国通訳案内士)

  • 英検 準1級、TOEIC 895、国連英検 B級
  • 英語が好きで中学時代から基礎英語、ラジオ英会話を継続して聞く。
  • ラジオ英会話の講師だった先生から英語を学びたいと、その教授を求めて大学入学。その後、念願の教授から英語を習い、ゼミでは、海外メディアの研究を行う。授業は外国人教授のため、全部英語で、卒論も〔多国籍メディアが日本文化へもたらす影響〕を英文にて執筆。
  • 大学卒業後、新卒で、外資系航空機製造メーカーに入社。得意な英語とグローバルマインドを活かし、現在14年目。
  • 今年から転勤のため、神戸の整備現場で勤務。上司フランス人達と新しいことに挑戦する日々を過ごす。
  • プライベートでは、大学の恩師より東京五輪に何かしら関わるように言われたことをきっかけに、独学、そして短期集中の勉強法で、2017年通訳案内士に幸運にも一発合格。
  • 東京SGGとよばれるボランティアガイドの老舗クラブに入会し、週末は主に浅草で外国人観光客へのご案内を行う。
  • 港区の観光ボランティアとしても活動し、港区の魅力を発信。
  • 東日本大震災の経験を元に、防災ボランティアとして、緊急時に外国人のサポートができるよう訓練を受ける。
  • 東京五輪では、大会ボランティアとして、プレス対応予定。
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Q & A

  • 英語を飛躍的に伸ばした時期の目標設定は?(どの程度からどの程度へ?) また、かかった期間はどれくらいですか?

ビジネス英語中級レベルから上級レベルになりたいと目標を立てました。なぜなら新入社員で配属された部署が、自分が思っていた程、英語が使えず、自分の語学力が低下することへの怖さを感じていたからです。また、入社当時は、長年働くつもりはなく、転職か独立を考えていたため、英語で食べていける仕事につきたいと思い、放送同時通訳講座を、週末受講しました。なぜ放送通訳に関心を持ったかというと、大学時代に海外メディアを研究し、また大学時代に同時通訳の大手、サイマルインターナショナルにて、通訳者へ資料を渡すアルバイトをしており、自分も通訳者になって、世の中で起こる重要なイベントを発信したいと考えたためです。授業に通ったのは、3か月間でしたが、目標達成には、1年程度かかりました。結果的には、人事異動で営業、海外購買、海外資材調達と、英語を使う部署に配属され、現在入社して14年目になります。そのため、通訳者にはならずですが、同時通訳を勉強したことで、それ以降の英語への勉強方法が大きく変わったと思っています。勉強の仕方は後述しますが、記憶力と集中力が以前より向上したと思います。また、仕事では、海外出張に通訳としてアテンドしたり、社内での通訳業務はもちろん、社外向けの顧客を集めた大きな会議の際に、航空機の専門的な知識とともに、同時通訳者として、会議に出席する機会が増えたため、経験は生かされたと思います。また、同時通訳の勉強は、通訳案内士の口述試験でも、役に立ちました。

 
  • 一番英語を勉強していた時は、一日何時間くらいやっていましたか?

睡眠時間を削り、平日で一番やって6時間、週末は12時間程度勉強していたかと思います。

 
  • そのときはどのようなことをやっていましたか?

放送同時通訳の講座に通っていたころは、ノートテイキング(すばやく正確にメモをとるこつを学び)、サイトトランスレーション(声に出して訳すこと)、シャドーイング(英語ニュースを聞きながら、少し遅らせて、一語一句正確にくり返し発音する練習)、そして、英→日/日→英逐次通訳(まとまりごとに区切って聞き、その都度、通訳する訓練)を行いました。また、テロップ(字幕付け)、ジャーナリスティックな日本語の表現等も勉強しました。毎回の授業では、先生からニュースを数本用意され、最終的に自分で訳したものをテープに吹き込み、先生からアドバイスを貰うということも求められました。自分で訳したテープを聞いて、復習するのですが、最初全くできず、本当に恥ずかしかったです。また一瞬でも集中力が途切れると、全く内容が入ってこないため、毎回緊張の連続でした。同時通訳の仕事の難しさを痛感した日々でした。

 
  • 目標達成に障害はつきもの。どんな障害をどう克服しましたか。

大きく二つの障害がありました。

まず一つ目は、勉強時間の確保です。あいにく平日は、毎晩終電がほとんどのため、明らかに勉強時間がないことです。そのため、睡眠時間を削り、夜中の3時くらいに就寝して、朝6時半に起床し、出社する前の1時間半を勉強時間に充て、往復通勤時間の2時間、昼休みの50分を有効活用しました。週末は、ほぼ勉強時間に充てていました。社会人の勉強は、時間の確保が大きな障害かと思います。私は、会社にはお弁当を持参し、昼休みを有効活用しました。通訳案内士の勉強時も、昼休みの短期集中勉強法は、かなり役に立ちましたので、もし良かったら真似してみてください。ただ、たまには、息抜きも必要です。

二つ目には、すぐに結果が出ないことです。特に、シャドーイングが、自分はかなり苦手で、何度聞いても、聞き取れない単語や冠詞があり、毎回イライラしていました。ただもがいても、何も解決にはつながらないため、ただひたすら何度も聞くことをしていました。語学の習得は、努力をしてすぐ結果がでる場合と、ある程度のレベルに達するとその次を超えるのがかなり時間を要することがあることを皆さんも同感頂けるかもしれません。ただ、そこで辞めては、ダメで、ひたすらつらくても継続することをしなければいけないと思います。

 
  • おすすめの教材や効果的な使い方があれば教えてください。

NHKのラジオ、テレビ講座を上手く活用するのがいいかと思います。

自分自身、中学時代から「基礎英語」を聞き初めて、「英会話」、「ビジネス英会話」を長年聞き続けています。ここ最近は、NHKの語学アプリも使用しています。

また、ニュース英語に関心があったため、長年、「攻略!ABCニュース英語」という番組が好きでした。TVを見ることができなくても、自分が勉強できるタイミングで、NHKのHPにアクセスし、米国ABC Newsでその日に放送されたNewsを勉強でき、時事英語対策並びに米国でのニュースをタイムリーにキャッチできました。しかし、残念ながら今年の3月末で番組は終了してしまいました。ただ、過去のニュースのKey wordは紹介されているので、もし興味があれば見てみると勉強になります。

その代わりに、NHKラジオ第二放送で、「ニュースで英語術」という番組があります。こちらは、NHKの国際放送で扱ったニュースを取り上げて、旬なニュースを1回5分で、最新の時事英語表現を紹介している番組になります。こちらもNHKのHPにいくと、音声映像並びに、スクリプト、和訳も紹介されているため、短時間で勉強でき、時間のない社会人の勉強にはいいかと思います。さらに、毎週木曜22時50分より、NHKで、同時通訳者の第一人者である、鳥飼玖美子さんが解説される「太田光のつぶやき英語」という番組も、時流に合った英語表現を学べるため、おすすめです。

また、通勤時間は、Japan Timesをスマホで購読しています。目的は、まず英文を継続して読むこと、通訳案内士として、日々日本で起こっている事件や現象をどのように英語で表現するかということを知っておくため、読むようにしています。またJapan TimesのTravelやCity Guideも通訳案内士の試験勉強対策でよく参照しました。

 
  • 勉強のモチベーションが下がった時、どのようにモチベーションを上げていましたか?

周りの頑張っている友人と話をし、モチベーションをキープしたり、自分が目指している目標の意義を再確認し、再度自分が熱くなれることを思い起こし、鼓舞しています。

また自分は英語以外の言語も興味があり、韓国語は日常生活レベル、フランス語は初歩レベルなのですが、英語の勉強に気が進まない際は、違う言語のNHKの語学講座などを見て、言語習得の楽しさの原点に戻るようにしています。そして、やっぱり自分が一番得意なのは、英語なのだと、言い聞かせて、英語を勉強するモードに変換したりしています。

それでも、集中力が途切れ、勉強する気になれない際は、英語以外に大好きなクラシックバレエを、好きなバレエ音楽と共に自分で気が済むまで踊り、ストレスを発散するなどをしています。

 
  • 英語をお仕事で使えるレベルになりたいと思っている学習者へのメッセージをお願いします。

何事も極めることは大変なことだと思いますが、具体的な目標、あるいは、憧れの人やこうなりたいという夢を持つのが大切なことだと思います。明確な目標があれば、自分には何が足りなくて、それを克服するためにはどうすればいいかが、わかります。あとは、一個ずつ、根気強く、壁を乗り越え、思い描いている理想に近づけていくことが、努力を続けられるモチベーションになれると思います。私は、中学時代から、キャスターの国谷裕子さんに憧れていました。国谷さんは帰国子女で、自分とは全く違う環境のお生まれの方で、雲の上の存在ですが、国谷さんの知的漂う雰囲気に憧れて、自分もああいうような女性になりたいと今でも強く思っています。

また仕事で英語を使うということは、通訳者や翻訳者以外は、基本、英語はあくまでも道具であって、英語で何を話すかが求められています。そのため、仕事で英語を使う場合は、まず仕事を理解し、また専門的な知識を増やすことは必要不可欠です。自分自身、会社に入社したての時、英語を思ったより使う機会が少ない部署に配属されて、納得いかない日々でしたが、会社が航空機メーカーのため、航空機の知識並びに、航空業界の専門用語等を時間がある毎に、自分でノートを作成し、学びました。今では、その甲斐あり、顧客を集めた会議に通訳として、出席するようになりました。そのため、何事にも知的好奇心をもって、取り組む姿勢も大事かと思います。

私自身、英語が好きで、英語圏への留学はないものの、「千里の道も一歩から」をモットーに、日本で地道に勉強したものです。語学の試験の中で、最難関と呼ばれている通訳案内士を自分が取得できるとは本当に思っていませんでした。幸いにも6か月間の短期間で、独学で合格できたのはラッキーだったと思いますが、だからこそ、今言えるのは、努力は消して、無駄にならず、比例するということです。私自身、通訳案内士としてスタートしたばかりですが、皆さんと共に、英語を通じて、まだ見ぬ世界の扉を開けられるよう、自己研鑽に励みたいと思います。

 

ゴールへの道は一つではありません。でもそこにはきっと何か共通点もあるはずです。あなたが実践的な英語を身に着けるための学習のヒントが得られるよう、これからも英語の達人をお招きしてお話を聞いていきます。

 

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