interview

『英語漬け』のすすめ

2021年08月9日
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by Mayumi
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英語を使う仕事はいろいろありますが、英語4技能の中でも「スピーキング力」が必須の通訳案内士。彼らはどうやってその英語力を身に着けたのでしょうか? あなたが目標に到達するためのヒントがここにあるかもしれません。

 

本日のゲスト :Yasuhisa(全国通訳案内士)

  • 国際水産コンサルタント会社(OAFIC 社)起業、代表取締役:12年
  • 国連食糧農業機構 (FAO、本部ローマ) 水産局事業部長及び政策企画部長:計8年
  • 国際機関:アジア開発銀行(ADB)、東南アジア漁業開発センター(SEAFDEC) :12年
  • 鹿児島大学国際戦略本部教授:6年
  • ベトナム世界銀行プロジェクト主任技術顧問(CTA):2年
  • ODAの仕事に12年関わったのち、世界の水産業の諸課題に関してグローバル(FAO)、アセアン地域(regional )、国(ベトナム)と異なった立場から関与。
  • 水産学博士
 
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私にとっての英語

私の大学時代(1960年代)は今と比べて国際的な課題はかなり非日常的なもので、そのために英語を習得する考えは全くありませんでした。国際的なコンサルタント会社を起業した時も政府機関に日本語のレポートを提出することは必要でしたが、時々行った海外出張もほとんどの場合が短期であったため英語を習得する必要性をそれほど感じさせるものではありませんでした。そのような私が英語を使って20年以上海外で仕事を続けることになり、どのようにして苦手な英語を克服したかについてお話します。65歳を過ぎて海外での仕事を終え、国立系大学で大学の国際化に携わった時に学生に対して「地方のゆったりとした日常生活の中でどのようにしたら世界をより身近に捉えることができるか?」という視点での講義を6年ほど行っていましたが、その中でも、特に語学力習得について学生達に話をし、国際化に向けた活動を中心にお話します。

 

Q & A

  • 英語を飛躍的に伸ばした時期の目標設定は?(どの程度からどの程度へ?) また、かかった期間はどれくらいですか?

私にとって「英語を飛躍的に伸ばした時期の目標設定」というものを考えたことはありません。ただ英語を勉強しなければならないと真剣に考えた時期があります。それは43歳の時に国連の幹部職員(D-2)に採用され、ローマの本部に赴任した時のことです。それまで、ODAの仕事を12年ほどしておりましたので英語による日常会話は何とかなっていたのですが、基本的に日本語社会の中で働いていましたので、国連組織で幹部として働くには自分の能力不足をつくづく痛感することになります。仕事内容は世界中で行われていた年間ベースで約250のプロジェクトを総括管理するものでしたので、それらの実施のために派遣されていた数百の現地職員、コンサルタントから毎日、私の所に各種の要請書類が上がってきます。勤務初日にまずびっくりしたのは私の決裁を待っていた厚さ20㎝程の書類(ほぼ毎日の決裁量)の量でした。書類の決裁は時間さえかければできるのですが、それでも書類の量が多く、毎日残業をせざるを得なかったのですが、毎日の業務を通じて速読の訓練できたのか、そのうち残業をせずに毎日の仕事をこなすことができるようになりました。

 
  • そのために取り入れた学習方法はありますか?

この背景には私が英文を読むことに関しては少し訓練めいたことをしてきたことが、役立っていると思いました。それは、30歳ぐらいからペーパーバックを1か月に2冊ぐらいのペースで読むことを習慣にしていました。その方法はシドニー・シェラドンやジェフリー・アーチャーのような話の展開の早い作家の本から始め、基本的に名詞等でその意味が分からずに読み進むことができない場合を除いて辞書を引かずに最後まで読みとおすことでした。この方法は速読の訓練にもなり、毎日の多量の書類を処理するための訓練となっていました。いずれにしても、ペーパーバックを読むことを習慣にされると英語に対する自信がつくのではないでしょうか?

 
  • 英語をビジネス公用語としてグローバルにご活躍される上でご苦労した点と、その克服方法についてお話しいただけますか?

しかし、何ともならなかったのが、最低一日1回は行われていた各種の会議への参加でした。ただ、出席するだけでなく、発言もし、リーダーとして内容を纏め結論付けることは私にとってまさに不可能とも思える能力が必要でした。そこで、我武者羅な試行錯誤的努力が始められました。そのうちの一つがメモによって会議を理解する方法でした。まさに当時の英語力の無さを示すように、まず、発言をよく聞いて、その内容を日本語でメモリます。そして頭の中で発言すべき内容を日本語で組み立て、更に英文に翻訳して発言をしようとしますが、この英語-日本語、日本語-英語の翻訳を繰り返すうちに起きるタイムラグは致命的で、多くの場合、話題は既に別のものに移っていることが多かったのです。このような一見空回りとも思われる努力が3か月程続いた後、私の頭の中で翻訳のプロセスから翻訳を通じない英語―英語のプロセスへの転換が始まったのです。それは、私にとっても突然に起きたことで、英語の夢を見ると言われるような変化が始まったのでした。以来、国連機関で働くための最大の難題であった英語力の問題が気にならなくなり20年以上の海外勤務を続けることが出来ました。

 

・英語活用能力を高めるためにこれまで学習者にどんなことをお伝えしてきましたか?

この私の経験に基づいて、大学の講義で学生にまず伝えたのは、本当に英語を話せるようになりたかったら『英語漬け』の環境に身を置けということでした。私の講義には250人もの学生さんが参加していましたので、全員が『英語漬け』の環境を作ることができるはずもありません。ただ、日本語を使って行われる日常生活の中で、例え週2時間、英語を勉強しても英語を習得することはできないと言いたかったのです。そこで、『英語漬け』の環境をいろいろ提示しました。まず、私の研究室を学生に開放し、また留学生も招待し、英語で会話ができるサロンを作りました。また、留学生と相談してお祭りや災害支援のボランティアー活動を作り、学生たちの参加を促しました。更に、留学生を教育助手として参加してもらい、英語で教え、協議ができる国際問題の授業を開始しました。最終的には大学首脳と協議をして研修旅行(1か月までの超短期留学)に補助金を出してもらうことで、当時海外に行くことに尻込みしていた学生の後押しを行いました。この結果、年間で約2~300人の学生が研修旅行に参加し、これをきっかけに長期の留学、交換留学、国際的業務を行う商社などの就職を成し遂げたことを見ると、この方向性は間違っていなかったと思っています。

 
  • 英語をお仕事でつかえるレベルになりたいと思っている学習者へのメッセージをお願いします。

日本にいて『英語漬け』の環境に身を置くということは簡単なことではありません。しかし、将来、国際的な場で活躍したいと考えておられるならば、日本人があまりいない場で最低3か月の『英語漬け』を経験されることをお勧めいたします。私が40歳を過ぎた年代で3か月必要でしたので、より若く『英語漬け』の必要性に気付かれた方はもっと短い期間でも十分に大きな効果を生み出されるに違いありません。今は、各国で語学留学、ワーキングホリデイなど多くの『英語漬け』の場を開発していますので、少しの調査で適当なプログラムが見つかると思います。頑張ってください。

 

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