自分の発する英語はどう聞こえているの?ちゃんと伝わっているの?複雑な構文を自在に操って知的な会話がしたい!誰もが抱くスピーキングに対する不安を克服し続けている英語の達人にインタビューしました。
本日のゲスト :Tak(全国通訳案内士)
- 観光ガイドマーケットプレイスで18件の口コミ平均4.56、GoWithGuideの人気ガイド
- 広告/編集ライターとして、徹底的にドメスティックな仕事を40年間、50歳過ぎ、ふとしたはずみで英語の学習をはじめて、副業で英語ガイドの仕事もはじめる
- 現在もライター(インドア)をつづけるなかで、ガイド(アウトドア)を並行していいバランスをとっている。
- 2018年・2019年の観光通訳ガイド稼働人数は年30-50日程度。
- 東京ホラーツアー、お稲荷さんツアー、ポケモンツアー、ライブハウスツアー、弁当ツアー、日暮里繊維街ツアーなど一風変わったニッチなツアーを得意とする。
- 英語学習苦闘の軌跡は単行本「英語でニッポン案内ハンドブック」(2019年出版 株式会社アルク発行)でも読めます。
Q & A
- スピーキング力を伸ばすためにどのような勉強をしてきましたか。また、どのような勉強方法が効果がありましたか?おすすめの勉強方法を教えてください。
このインタビュー(50歳を過ぎて学びなおしても、仕事で使える英語は得られる- かなり楽しい!)でも書かせていただきましたが、私は2015年に通訳案内士の資格を取得しました。
考えてみると、それ以前にはスピーキングの練習というものはほとんどしていませんでした。
資格をとって現場に出るという段になり、はじめて「自分の発する言語がどのように聞こえるか」「ちゃんと意思を伝えることができるか」という課題が大きくなり会話練習と直面せざるを得なくなったというわけです。
そのなかで役に立ったと思うのが、上のページでも紹介した1人ディスクジョッキーごっこ笑でしたね。
パソコンにマイクを付ければ録音できるので、とりあえずオンにして強制的に30分英語で話しつづける。必ずプレイバックして確認する、そして欠点に関しては絶対的に決着を付けるというものです。
これをやってみて、最初にわかるのは、
1.発音の悲惨さ
2.自分の思考を英語の文法に変換する能力の低さ
3.会話を構成する能力の低さ
で、これらを意識して直すことにより、少しずつ問題点は解決に向かっていたような気がします(まだ未完成!)
録音して、聞き直して、理由を考えて、こうやったらどうかかな、と、もう1回録音して、やっぱりダメだぁ、少しグレててから気を取り直して、もう1回、あ~ちょっとはマシになったから、今日の所はよしとしよう・・・ということを何ヵ月か繰り返していくうちに、当初に比べると成長の跡は見られるぐらいになってきたようです。
おすすめの勉強方法----。
ことスピーキング力を伸ばすのは、とにかくいっぱいしゃべるるしかないと思います。
本当は相手がいてキャッチボールできればいいのですが、それがむずかしくてもとにかくしゃべる、しゃべり倒す。それが上達の道を拓いてくるはずです。
私の場合、最初のころは脳のメカニズムがまったく英語仕様になっていなかったので、とりあえず元気よく"I"と主語を言ってから、センテンスをつづけられなくなって、立ちすくんじゃうことよくありました。
毎日話すを習慣にすると、このように、瞬間フリーズすることも減っていくようです。
また、ひとりしゃべりをつづけているうち、「正しい発音、正しい文法、適切な用語」ももちろんたいせつなのですが、でも「口を大きく開けて、ゆっくりはっきり声を出し、感情豊かに話す」ことで、間違いも欠点もかなりの部分カバーできることがわかったりしておもしろいです。
- どれくらいの時間をかけて、どのように伸びてきたか、時間軸と伸びの実感を具体的に教えてください。
ヒマがあったら英語を口にするというのを何年かつづけていました。風呂場でMLBベースボールの架空実況中継をしたり、河原を散歩しながらもぞもぞと喋って気持ち悪い人になったりというのが習慣になっていた時期もありますが「どれぐらいの時間をかけて」と聞かれるとよくわかりません。
できるだけ毎日、少しずつでも英語を口にするようにしながら、2~3年ぐらいつづけて「あ、英語をしゃべれる人と言っても過言でないかな」というぐらいの自己評価を得られるようになった、というところでしょうか?
- 複雑な構文で話せるようになったのは勉強を始めてからいつごろですか?それまでのシンプルな構文から複雑な構文で話せるように変化したのは、どのような勉強方法が効果があったのでしょうか。
すみません。シンプルな構文から複雑な構文に変化したというような経験はありません。
私の場合持って生まれた性分で、むしろ、構文も話もややこしくなりがちなので、シンプルな構文を心がけた方がいいのではないかと思ってきました。
日本語でも、ついつい持って回った言い方になってしまう欠点があり、「考えたこと」を言葉にしようとすると自然に関係代名詞をいくつも使った「複雑な構文」になってしまう傾向がありました。
問題は、複雑な構文を使って話をしても理解してもらえないことで笑。
会話には、むしろどれだけシンプルな構文で会話ができるかが大事だとと思っています。
たとえば、誰かをランチに誘うとき----。
“For this lunch, I’d like to go to a sushi restaurant which started their business the other day. I heard the taste is good. How do you like it?”
「今回のランチは、先日営業を始めたお寿司屋さんに行きたいです。 味がいいと聞きました。 いかがですか?」(Google翻訳)
というよりも、
"Hungry? Sushi? Fine! I know a good place. Let’s go.”
「お腹が空いた?寿司?いいよ!いい場所を知っている。行こう」(Google翻訳)
と言った方がずっと話がわかりやすいですよね。
だいじなことは日本語で考えたことを翻訳して伝えるのではなく「よ~するに、何がわかってほしいんだっけ」と考えて、最短距離で伝えることだと思っています。
一例を挙げます。
オリンピックの開会式のテーマとなったUnited by emotion という言葉があるのですが、Twitterなどで多くのネーティブスピーカーが「意味わからん」と盛り上がっていました。「感動で、私たちは一つになる」という意味らしいのですが、私の実感値としては、多くのアメリカ人は「こころを一つにする」というような感覚がありません。また「感動」という概念もあまりありません。
その証拠に「一体化」も辞書で引いてみるとsolidarityみたいな日常的でない難解な単語をばかり出てきます。そんなときに和英辞典を使って必死になって訳そうとしても絶対に伝わる英語にはならないでしょう。
私だったら、
「感動で、私たちは一つになる」
という意味の英語スローガンをつくるなら
Be as One, Today.
とかにしちゃいます。「感動はどこに行った」と詰められたら「Today=この瞬間に一つになる、それって、感動じゃないですか」とか丸め込んじゃう笑
和英辞典で引いてみて難解な単語しか出てこないときには、あえて日本語をリセットして、この感じってシンプルに言ったらどうよ?と言葉さがしをしてはどうでしょう。
SVO、SVOO、SVOCというフルセンテンスで話をまとめられるのは、もちろん大前提なんですが、会話のなかで関係代名詞や接続詞が多くなってきたら、用語も構文もシンプルにするべきでないかと思います。
- スピーキング力を伸ばす時に使っていたあなたの勉強ノートなどがあれば、見せていただけませんか?
ないです!(きっぱり)
失われていく記憶を追いかけることはしないと決めているので笑
学習した内容が100%頭に定着していくことを求めていくとツラくなりますから(とくにこの歳では本当にみんな忘れてしまって!)、毎日少しずつ学習して、その10%が残ったらめっけもんぐらいの感じでやってきました。やっています。
- レアジョブやDMM英会話のようなオンライン英会話、またはベルリッツなどの教室型英会話は活用されましたか?活用されていた場合、活用のテクニックを教えてください。
DMM英会話
通訳案内士試験2次(面接)の前に使いました。ここの特徴は、セルビア、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、クロアチアなどのティーチャーが多いことです。最近ではアフリカ各国やジャマイカなどの人材も発掘していると聞きました。
追加料金を出せば、アメリカ、イギリスなどのティーチャーも選べるのですが、そうしない方が絶対いい。じぶんの国といままでほとんど接点がなく、文化に対する相互理解もできてない相手と英語で会話するのは、メチャクチャ楽しいことでしたし、勉強にもなりました。(ボスニア・ヘルツェゴビナの街中には野生のリクガメがいっぱい歩いているなんて、こんな機会がなかったら絶対に知ることないですよね!)
日本の食べ物、日本の酒、日本の文化、日本の音楽などなどを英語を使って説明する、見たこともない国の話を英語で聞いて理解するというのは、とてもいいトレーニングになると思います。
ベルリッツ
ちょっと行きました。高かったです笑
ティーチャーの質とかテキストとかは確かにとてもいいのだけれど、レッスン時間あたりで料金が発生するので、これだけで効果を出そうとすると莫大な金額になってしまいます。結局、自習の勝負ということになってしまいベルリッツの効果かどうかわからない気がしました。
ただ「これだけお金を使ったんだからモノにしなくては」というモチベーション効果は素晴らしい笑ものでした。大人になって、最初に英語を学ぼうとしたのが、ここで、結局いままでつづいているので、その意味では大変に感謝しています。
このほか、スピーキング練習にいいなと思ったのは----
アルクトーキングマラソン
スマホのアプリを使って行う教材、相手の言葉に6秒以内に返答するというルールで英語の反応力を身につけていこうというものです。
「スピーキング学習」と言っても、さまざまなレベルのトレーニングが必要なのですが、これはある意味で非常に役立つ「決まり文句での応答力」を鍛えてくれます。
「英語を話す」ということは、ときとして「ものすごく考えて話す」ことも必要ですが「考えないで機械的に応答する」のが求められることもあります。そういう場合に「あ~こ~言えばいいのね」というのがわかります。
あと、日本人はつい書き言葉で話してしまうとよく言われますが、話し言葉にシフトするのにも役立ちます。(デートに誘うはask her out、メシ食いに行くはeat out、ついwhyといいたくなるときはhow comeを使うとマイルドになる・・・という具合)
ただ、アプリの使用料としてはちょっと高い気がするので2~3ヵ月と決めて集中してトレーニングするのがいい気がします。
Vital English
会議室に100人以上集まってとにかく英語で話しつづけるというイベントです。
全員立ち上がり、ランダムに相手をみつけ1対1で、握手・自己紹介・そしてなんでもいいから英語で話す。タイマーで時間を切って、相手を変えてまた話す。
レクチャータイムもありますが、メインは会話のバトルロイヤルでしょう。
スピーキングの練習は独学でやるだけではなく相手がいればベターなのはもちろんなのですが、機会に恵まれない人も多いでしょう。相手と言葉のキャッチボールをするセッションを強制的に繰り返すのは、最初ものすごく疲れますが、ああ英語で話すのはこういうことかとよくわかります。
私はシャイな人間なので笑、最初参加したときには、ものすごく緊張しましたが、とても有意義な時間だったと思います。
コロナ禍で開催がきびしくなっていると聞きますが、参加料も私が参加したときには1000円と安いので、スピーキング練習をこれからはじめたいという人にはおすすめです。
第二言語として英語を学ぶとき、その道に終わりはありません。達人は学び続けるから達人なのです。CONFIDENT & FLUENT SPEAKERになるためのヒントをこれからも探っていきます。
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