interview

50歳を過ぎて学びなおしても、仕事で使える英語は得られる- かなり楽しい!

2021年07月19日
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by Mayumi
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英語を使う仕事はいろいろありますが、英語4技能の中でも「スピーキング力」が必須の通訳案内士。彼らはどうやってその英語力を身に着けたのでしょうか? あなたが目標に到達するためのヒントがここにあるかもしれません。

 

本日のゲスト :Tak(全国通訳案内士)

  • TOEIC870、全国通訳案内士(英語)
  • 広告/編集ライターとして、徹底的にドメスティックな仕事を40年間、50歳過ぎ、ふとしたはずみで英語の学習をはじめて、副業で英語ガイドの仕事もはじめる
  • 現在もライター(インドア)をつづけるなかで、ガイド(アウトドア)を並行していいバランスをとっている。
  • 2018年・2019年の観光通訳ガイド稼働人数は年30-50日程度。
  • 東京ホラーツアー、お稲荷さんツアー、ポケモンツアー、ライブハウスツアー、弁当ツアー、日暮里繊維街ツアーなど一風変わったニッチなツアーを得意とする。
  • 英語学習苦闘の軌跡は単行本「英語でニッポン案内ハンドブック」(2019年出版 株式会社アルク発行)でも読めます。
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Q & A

  • 英語を飛躍的に伸ばした時期の目標設定は?(どの程度からどの程度へ?) また、その目標達成にかかった期間はどれくらいですか?

2008年5月、52歳のとき、アメリカのシアトルにイチローの野球を見に行きました。私はもともとロック少年で学校よりもビートルズ、キングクリムゾン、ガンズンローゼス、ロキシーミュージックなどの歌詞から英語をおぼえた人間であり、一応大学で西洋史を専攻したので、ある程度英語はわかると思っていたんですね。

ところがどっこい笑、アメリカに渡ってみると現地の人々とはまったくコミュニケーションできないレベルだと思い知らされてしまった。おぼえているのがセーフコ球場(現在のTモバイルパーク)でホットドックを買おうとしたとき。売店のご婦人がにっこり笑って「おまえはとっても・・・・」と言っている、なんかほめてもらっているようなんですが全然意味がわからない!

そんな経験が英語をもう一度学び直すきっかけになりました。

でも、そのときには「どのくらいまで」という目標設定はありませんでした。というか「どのレベルまで成長する」というイメージできる能力がなかったというのが正直なところです。

もう一つのきっかけは、2013年56歳のときにもののはずみでTOEICテスト、その翌年に通訳案内士試験を受けたときです。

これもまた変な話で、私はもともとライターの仕事をやっているのですが、3年がかりで関わっていたある企業の50周年記念誌の仕事が一段落して「あ~、そろそろ引退かなぁ」と思ったらメチャクチャ落ち込んでしまった。目標がないのはしんどいものです。無理矢理つくった目標がTOEICテストと通訳案内士試験。こちらはTOEIC 800点、通訳案内士試験合格というゴールがあったので、それに向かって進んでいけました。

結果、半年でTOEIC 855点、翌年に通訳案内士試験合格(シアトルのホットドッグ店から7年目!)を達成できたので「すごいですね」とよく言われます。でも、実際通訳案内士として稼いでいくには全然英語力が足りないと、気づき、そこからまた長い物語がはじまります。

 
  • 一番英語を勉強していた時は、一日何時間くらいやっていましたか?

「TOEIC対策」や「資格試験対策」ではなく「英語会話力」を獲得するための勉強をはじめたのは、通訳案内士の資格を取得してからだったような気がしています。

とりあえず、という形で仕事をいただいて現場に出てみる・・・ともう全然英語ができていないのが瞬間的にわかる。

ガイドの現場に出てみると、気を配っていなくてはいけないことが瞬間的に10も20も起こってきます。たとえば道路を安全に渡るとか、メンバーが全員そろっているとか、楽しんでいるか、疲れていないか、腹減っていないか、トイレの用事は大丈夫か、子どもがいきなり泣き出さないか・・・など。それらに心を奪われていると「正しい英語を文法に従って話す」なんてまったくできなくなっちゃいます。主語と動詞だけの会話になったり、疲れてくると、すべての動詞がisになったり笑。

周囲のガイドさんに比べて圧倒的にできていないという現実はじつにくやしかったし、負けたくないとも思いました。幸い(じゃないよな!)ライターの仕事が減っていた時期なので、業務に出ている以外のすべての時間は「何かを英語で言う」にはどうしたらいいか、考えつづけていたりしていました。

集中して、というのではないですが、1日5~8時間ぐらいは英語の海にひたひたと浸っていたのではないでしょうか。

 
  • そのときはどのようなことをやっていましたか?

まず、ガイドの業務の基本として、対象となるスポットを調べる、紹介するためのシナリオを英語で書く、そして丸おぼえにする・・・というのは当たり前のことです。

これにプラスアルファで私がはじめたのは(そして、結構役に立ったのは)名付けて『英語ディスクジョッキーごっこ』笑でした。

(1)1日30分と時間を決める。

(2)とにかく英語でしゃべりつづける。

(3)かならず、これを録音する。

(4)プレイバックしてみる。

はっきり言って最初は拷問です。It sounded like a dying chicken. (首を絞められたニワトリのように聞こえた!) 考えていることを英語にしようと思っても、語順がまるで英語じゃない。動詞は何を選べばいいのか、と、2分考えて「なんだputか」笑という有様。

でも、これを2ヵ月ぐらいつづけるうちに少しずつ英語らしく聞こえるようになり、dying chickenも生き返ったようです。現場に出ても英語が頭に浮かばずにストレスをおぼえることは減りました。

もちろんまだまだ完璧な英語力ではありませんので、いまでもときどきこのトレーニングは行っています。

 
  • 目標達成に障害はつきもの。どんな障害をどう克服しましたか。

克服してないな~笑

通訳案内士の仲間といっしょにいると、子どものときに10年間海外生活をしていたとか、企業にいて海外業務をずっとしていたという人がゴロゴロいます。

一瞬でわかるのは、私のような海外経験を持たない人間は、英語の発音やリスニング力で100億万年努力をしても彼らに絶対に勝てない事実です。

そこで考えたのは「英語ができるとは?どういう意味があるのか?」

余談ですが、私はとてもめんどくさい人間です。

打首獄門同好会の名曲「カンガルーはどこに行ったのか」じゃないですが「考えるとはどういうことか考えるという考え方について考える」なんてことを日常的にしています。思考がめんどくさい以上、「いま考えていることを相手に伝える英語」もめんどくさいものになり、やたらとめんどくさい構文でやっと表現しても「めんどくさい!」と英語で(You are troublesomeかな?)言われるだけでしょうね(ね、めんどくさいでしょ?笑)

ということは、それぞれの場面で伝えるべきことを「最短・最適・最おもしろい」英語で表現するためにはどうすればいいかの問題になるはずです。

「仕事で英語を使う」ということは「情報力や人間力と英語力を合わせた、総合能力としてレベルアップしていけば、そこそこ勝負になるかもしれない(自信はない笑)」と考えて、英語と同時に人間性をブラッシュアップしている←イマココという感じでしょうか?

 
  • おすすめの教材や効果的な使い方があれば教えてください。

「英語で物事を説明する」という目的において圧倒的におすすめなのがTEDです。https://www.ted.com/

さまざまな分野の専門家が基本的に英語で最先端の情報をわかりやすく伝えてくれます。物事を伝える話の順序を体得するには最適です。コンテンツの数や質も膨大で無料。私も1セッションを500回聴き丸おぼえに挑戦!ということをよくやりました。

構造的に英語を理解してアウトプットする能力を得るためにはGrammarlyが役立ちます。

無料版もありますが、そこで文章を入力すると「おまえの文章間違っちゃいないんだけどGrammarly Premiumに登録すると、もっとシャープで素敵にするために25ヵ所ほど提案できるよ」と毎回メッセージが出るので不安に勝てずアップグレードしちゃいました。

文章を入力すると「theを入れろ」「そのaはいらない」「スペルが違う」「複数形にしろよ」とひっきりなしに意見が飛んできます。ときには、こちらも喧嘩腰になり「何言ってんだよ、ここのaは必要なんだよ、なぜなら・・・」と抵抗するなかで私の文法知識は、かなり強化されてきた気がします。

 
  • 勉強のモチベーションが下がった時、どのようにモチベーションを上げていましたか?

私の場合「この参考書を1月で完全マスターする」とか「単語を1日20個おぼえる」的な丸おぼえ学習は性に合っていないようです。

いつも考えているのは「読む聞く書く話すなんでもいいから、英語にふれる機会を少しでも増やしていく、その成果に関しては深く考えない」態度です。

このスタンスでいる限り、学習過程もあまり苦しくないですし、知識と同時に必要な感覚的な理解も早いのではないかと思っています。

 
  • 英語をお仕事で使えるレベルになりたいと思っている学習者へのメッセージをお願いします。

「仕事で英語を使えるようになる」というと「1年間で結果を出す」というように短期集中の考え方をしがちです。でも語学を学ぶということは期限を切るようなスタンスととらない方が、ずっとラクだし楽しいし効果も出るようです。

語学を学ぶとは「物事を思考し他者に伝える」体系をまるごと一つマスターすることだと考えています。じっくりと時間をかけて学ぶことで「自分という構造を棚卸しして再構築できる」じつに有意義で贅沢な機会を持てるといえるでしょう。急いでゴールをめざすのは、もったいない。

自分事で恐縮ですが、コロナ禍にくわえて65歳になり年金ももらえるようになり時間もできたので、新たに韓国語とスペイン語を学びはじめています。ついでにいえば英語学習も完成ではなく「Netflixドラマ英語字幕でいっしょに声出す」トレーニングもつづけています。ライターの仕事もつづけているので、日本語もまだ成長過程。4カ国同時学習!

私的には「4カ国語同時」がミソで、口の形から声帯のふるわせ方、そしてもちろん文法や世界観から違っている言語を同時期に視野に収めるなかで、脳みそのさまざまな部分が刺激されていく感動と興奮を味わっているところです。

進捗については急ぐことなく、韓国語は3年、スペイン語は5年で世間話ができればいいなと思っています。これらを仕事で使うとか通訳案内士の言語を増やすとか大それたことはまったく考えていませんが、瓢箪から駒が出てくるかもしれません。

ちなみに以下は韓国語を学びはじめてから新しくつくった英語ガイドとしての自己紹介(あえて翻訳はGoogle翻訳のままで)

My name is Tak.

In Japanese, Tak means a table, and sometimes table tennis - a ping pong game.

Curiously, in the Korean language, Tak (닭) means chicken. Yes, the birds who cannot fly.

I am Tak. I can set a TABLE of a great dinner of your travel experience.

And, I am Tak. I'm a coward CHICKEN, and I'll never take my precious guests to dangerous places.

Please enjoy a great travel experience and a safe day that only TAK can bring.

私の名前はタクです。

日本語では、タクはテーブルを意味し、時には卓球を意味します-ピンポンゲーム。

不思議なことに、韓国語でTak(닭)は鶏肉を意味します。はい、飛べない鳥。

私はタクです。私はあなたの旅行体験の素晴らしい夕食の表を設定することができます。

そして、私はタクです。私は臆病なチキンです、そして私は私の大切なゲストを危険な場所に連れて行くことは決してありません。

TAKならではの素晴らしい旅体験と安全な一日をお楽しみください。

ほらもう仕事に役立ちました。笑。50歳すぎて英語を学ぶ、無謀なチャレンジをお試しあれ!

 

ゴールへの道は一つではありません。でもそこにはきっと何か共通点もあるはずです。あなたが実践的な英語を身に着けるための学習のヒントが得られるよう、これからも英語の達人をお招きしてお話を聞いていきます。

 

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