interview

勉強のモチベーションが下がった時の対処法とは? - 楽しくないことは続かないので、無理をしない。「楽しい=達成感」

2021年05月18日
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by Mayumi
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英語を使う仕事はいろいろありますが、英語4技能の中でも「スピーキング力」が必須の通訳案内士。彼らはどうやってその英語力を身に着けたのでしょうか? あなたが目標に到達するためのヒントがここにあるかもしれません。

本日のゲスト :長谷川真由美(ラーンウィズコーチイングリッシュ ヘッドコーチ)

  • 英検1級、全国通訳案内士(英語)
  • 大手進学塾主任講師、大手英会話講師を経て、個人向けの英語コーチの他、訪日外国人向けの観光通訳ガイドやガイド育成講師として活躍
  • 2019年の観光通訳ガイド稼働日数は年間210日
  • 海外留学をせずに、日本でのみ英語学習を行ってきた
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Q & A

  • 英語を飛躍的に伸ばした時期の目標設定は?(どの程度からどの程度へ?) また、かかった期間はどれくらいですか?

長らく英検準1級で止まっていました。実践でビジネスレベルの英語を使うこともなく、特に必要性も感じないままその上を目指していませんでした。あるときふと、まずは英検1級を取ろう!そう決めて期限を半年に決めました。

 
  • 目標達成に障害はつきもの。どんな障害をどう克服しましたか。

最大の障害は英語学習のための時間の確保でした。何しろ忙しいということを理由にこれまでチャレンジできなかったわけですから。とにかく自分で決めた期限は絶対に守ると決めて、(というか自分の飽きっぽい性格上それ以上はパッションが持たないとわかっていたので)今だけ!という気持ちで仕事以外の時間は全部英語に浸りました。犬の散歩、通勤、入浴中、食事中も炊事中もとにかく全部です。いつでもぶつぶつ言っていましたね。面白いことにいつでも勉強時間が取れる学生時代よりも効率的に成果を挙げられたと思います。短時間のつぎはぎなのでかえって集中できましたが、勉強という感じではなかったです。必死に言葉を覚えている感じでしたね。だから毎日楽しかったです。

 
  • 一番英語を勉強していた時は、一日何時間くらいやっていましたか。期間は?

ですのでその頃は10時間以上英語に浸かっていたと思います。机に向かって勉強を10時間ほどしていたのではありません。英語に触れていた時間が、という意味です。耳や目に入ってくる言語を英語にしていたということです。目標は半年で達成しましたが、まだまだ英語力に不安を感じていたので、さらに1年くらいはこんな感じだったと思います。

 
  • そのときはどのようなことをやっていましたか。

英単語集はレベルに合ったものを1冊で十分。私の場合は「英検1級 出る順で最短合格!単熟語」でした。単語集は例文付きのものがお勧めです。単語ではなく例文を暗記しました。ついでに他の単語や熟語を覚えられることがありますし。何度も繰り返し覚えたつもりでしたが、それでもそれだけでは使えるようにならなかったですね。言葉って実感が伴わないとちゃんとイメージがとらえられないんですよ。単語集で強制的に単語を暗記するだけでは不十分で、それを生きた言葉にするために、その言葉が実際に使われている場面に遭遇する必要があります。遭遇する回数は多いに越したことはありません。だから当時の私には「実践ビジネス英語」「英字新聞」「英語ニュースリスニング」の3つはマストでした。

NHKのラジオ講座の中で一番レベルの高かった「実践ビジネス英語」はすべて暗唱しました。

英字新聞も読んで旬な話題は記事を暗記して、ニュースキャスターになったつもりで暗唱しました。もちろん英語でニュースやラジオを聞いた時も同じようになりきって声に出していました。ラジオで聞こえてくる大げさで面白いCMなども真似していました。子供がよく気に入ったセリフの真似とかしますよね?そんな感じですかね。 先ほど、いつもぶつぶつ言っていたと言いましたが、これらを朝一番で記憶して、あとは一日中ぶつぶつ言っていたわけです。はたから見るとちょっとおかしかったと思います。

 
  • おすすめの教材や効果的な使い方を教えてください

結論から言うと高額な教材は必要ありません。なんでもいいので、徹底的に使い倒してください。

今ではたくさんの楽しい学習素材にアクセスしやすくなっていますね。「実践ビジネス英語」はその後「ラジオビジネス英語」という番組に変わっていますが、実践的な英語を学ぶのにお勧めの教材です。インターネットで英語の記事を読んだり聞いたりも簡単にできますよね。英語でお気に入りのユーチューブ番組を見るのもいいですね。自分が背景知識を持っていることや関心のあることだと理解しやすいし、楽しいですから。

効果的な使い方についてですが、何しろできる限り覚えること。私が実践しているのは毎日自分の適量を暗唱することです。きちんと全部の語句を正確に把握して暗唱できる分量です。暗誦ですので素材と同じスピードで言えることが前提です。これには日本語からの翻訳癖を取り除く効果もあります。ラジオ講座やCNNニュース、セレブのインタビュー、海外ドラマの中の一部など自分が好きなもののだと楽しいですね。

暗唱の他にも、聞こえてくる英語は何でもシャドーイングします。

私のルーティーンでは、毎朝前日までの暗唱をしてから本日の暗唱に入ります。「前日までの?」というのは、1週間は同じことを繰り返すからです。仮に1日1分の新しいマテリアルを暗唱する場合、常に1週間前に覚えたものから前日に覚えたものまでの7分の量の素材を暗唱することになります。この繰り返しこそがキーになります。

仮に1分間で話すワードを150語としても1週間分の暗唱となると1050語の英語を話すことになります。1050語をペラペラ言えるようになるとちょっとした達成感が感じられます。1週間繰り返していると、内容がイメージとして自分の中に定着してくるのが感じられ、どんどん流暢に話せるようになってきます。また、1週間繰り返しているものと、昨日今日覚えたばかりのものとの違いが明確にわかります。

このトレーニングはボキャブラリー増強とスピーキング力の向上に最適ですが、その過程でリスニング力が鍛えられます。

 
  • 勉強のモチベーションが下がった時、どのようにモチベーションを上げていましたか?

モチベーションが下がったときはルーティーンを止めました。持続可能な学習のために私が心に決めていたことは、無理をしないということでした。楽しくないことは続かない。私にとって「楽しい=達成感」だったのですが、難易度の高いことを続けていると時には達成感ではなく自分の力不足をより感じてしまうことがありました。それが私のモチベーション低下を引き起こしていました。そんなときは難易度の高い素材から離れて、易しい英文の本を読んだりしました。今ならユーチューブで楽しい子供向け番組などを見るのでしょうが、当時はそんなものはありませんでしたから。私は童話が好きでよく読みました。日本でもお馴染みの童話ですから英語でどう表現されているのかを見るのは面白かったですね。ストレスなく読めると、簡単な素材でも達成感を与えてくれました。でも不思議なもので、全くストレスのない簡単なものばかり読んだり聞いたりしていると、だんだん物足りなくなってくるものです。そうして結局は、面倒くさくなっていた難易度の高いルーティーンに戻っていったんですね。

 
  • その他英語の達人への道として有効な方法があれば教えてください。

フィードバックをもらう機会を持つことは有効です。プロのコーチがお勧めですが、あなたの目標を達成している人や外国の友人などでもいいと思います。自分では気づかない発音の癖などを直すためのちょっとしたコツを教えてもらったり、自分ではなかなか感じられない伸びている部分に気づかせてくれたり、モチベーションの維持といった効果があります。

 
  • 英語学習者へのメッセージをお願いします。

今の私は実践で英語を使って仕事をしており当時のように勉強に時間を費やしていませんが、英語学習は生活の一部になっています。よく学習が継続しないという悩みを聞きますが、それは英語学習が生活の一部になっていないからです。ご飯を食べる、お風呂に入る、英語素材を暗唱する、これらは私にとっては全て生活の一部です。ご飯を抜くのは無理!お風呂に入らないなんて気持ち悪い!それと同じで英語の暗唱は文字通り朝飯前にやっています。正直言えば、たまにやらないこともありますが、そんな日はなんか大事なことを忘れたような気になります。そうするとやっぱり再開するんです。新しく始める人にとっては、自転車と同じで漕ぎ出しはちょっとしんどいかもしれません。でもスピードに乗ってしまえばどんどん楽になります。そしてもちろん漕ぐのをやめてしまえば止まってしまいます。私の場合は仕事で英語を使うので、自然に続いているのですが、皆さんもご自分の環境を次第にそのように変えていければ、英語は無意識の生涯学習になります。迷っているなんてもったいない!やればだれでも英語の達人になれます!ぜひやってみてください。

 

ゴールへの道は一つではありません。でもそこにはきっと何か共通点もあるはずです。あなたが実践的な英語を身に着けるための学習のヒントが得られるよう、これからも英語の達人をお招きしてお話を聞いていきます。

 

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